柔整ホットニュース

特集

シリーズ第3弾  
国保中央会5項目の提言について業界内外の論客に意見を伺う!

2010/08/01

5項目の提言の3番にあげられております「全国決済制度の導入について」。全国決済制度の導入に関しては「請求方法の統一」が前提となるようですが、これについては当然効率が求められるため、保険者にとっても柔整にとってもメリットがあることと思われます。この件に関して何かアドバイス等があればお聞かせください。

この制度に関しましては、「請求方法の統一」「審査の統一」が行なえれば、当然導入されるべきことであると思います。

 

5項目の提言の4番にあげられております「疑義請求対策について」。この問題については、誰もが頭を悩まされております。実際、大島九州男参議院議員を中心とする、民主党の統合医療を普及・促進する議連の中にある柔整小委員会では、最終的に制度改革までもっていこうと相当のパワーで取り組まれております。こういった中で、柔整の不正請求問題がマスコミ等でたたかれることはよくありませんし、その不正をなくすためにも現在の受領委任払い制度を改正していく方向にあるのではと思います。柔整の保険取り扱いは、どのような形が望ましいとお考えでしょうか。

一部の健保組合などの患者啓蒙用パンフレットや、申請書点検審査の外部委託業者による患者照会の中には、受診抑制や妨害に近いのではと思われる内容のものが見受けられます。
「不正」をなくそうとすることと、受診そのものを抑制させることは全く別の事柄です。そうした行き過ぎた「疑義請求対策」を是正するためにも、審査会の審査基準や権限を見直し、その基準に準じた内容での適正な患者照会・啓蒙が行なわれるようにしていく必要があると考えます。
今回、国保中央会が提言された内容に関して、さまざまなご意見があると思います。保険者としての立場での提言ではありますが、柔整師サイドにもメリットがあり、国・厚生労働省に働きかけができる内容となっていると思われます。それもこの提言を委員長としてまとめられたのが、国保中央会常務理事である田中一哉氏という柔整業界に理解のある方であったということも影響が大きいと思います。
柔整業界が四面楚歌となる前に自ら襟を正すべきところは正し、柔整関連制度の見直し、再構築を行なうときではないでしょうか。

 

5項目の提言の5番にあげられております「柔道整復療養費に係るIT化の推進について」。現在既に、IT化に取り組まれている県は茨城県社団のみということです。クリアすべき課題等について率直に教えてください。

ITによるオンライン化、電子的媒体による請求は時代の必然であるとは思いますが、柔整業界ではごく小額の請求しか行なっていない方や、パソコン等を扱っていない方もおられます。そういう方たちの請求をどこが代行するのか、またその費用負担はどうなるのかといった問題がありますし、申請書への被保険者自署の扱いをどのようにするのかということもあります。
しかし、柔整サイドと保険者サイドで協議すれば必ず解決できることであると思います。

 

最後に今回の料金改定についての感想、ご意見等をお聞かせください。

民主党政権となり初の料金改定であり、行政刷新会議の「事業仕分け」に於いても厳しい意見が出されていたため注目していました。予想されていた大幅引き下げとはならず3部位目の逓減は大きくなり、4部位目はなしとされましたが、1・2部位までは、後療料は30円のアップとなりました。
この背景には、いろいろな要素があると思いますが、民主党 柔道整復師小委員会の存在は大きいのではないでしょうか。今まで同じテーブルに着くことがなかった柔整各団体が松本龍委員長や大島九州男事務局長のご尽力により一堂に会して、業界の発展のために意見交換会を行なったという事実は厚生労働省をはじめ各方面に影響を及ぼしたと思っています。
各団体ともそれぞれの考えや、やり方があろうかとは思いますが今後も柔整業界発展のために小異を捨てて大同団結していけるよう意見交換会・協議会を継続していただきたいと切に願っております。
料金につきましては、与党となった民主党のマニフェストに「最低賃金の全国平均1000円を目指す。」という項目があったと記憶していますが、現在の料金では到底支払えないと思います。
また従業員の雇用に関しても、労働・雇用保険、健康保険などを完備し、賞与・年金・退職金等を含め安定した雇用というものを実現できる業界となってこそ、雇用という側面においても社会貢献できる業界となるのではと考えますので、療養費、医療・介護保険等の各分野で、賃金を含めた確たる地位が築けるようになることを望んでいます。

 

プロフィール
    岡本    玄剛
        社団法人  京都府柔道整復師会  理事・広報部長


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